■自然と技が醸す「寒作り」
寒造りは江戸時代の中期か
ら。それまで年中、酒が造られていた。幕府が秋の彼岸以
前の酒造りを禁止したことで、寒造りが定着したといわれ
ている。四季造りといって酒造りを通年行なっている所も
あるが、現在多くの蔵では寒造りだ。
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■超扁平精米 酒造りの一歩は、精米から。玄米の表層部
の表皮や肱芽にはたんばく貿や油脂、灰分が多く、
酒質に雑味やくど味を含む。それらの成分を取り除くのに
玄米を精米する。この精米歩合から
大吟醸酒(精米歩合50%以下)
吟醸酒、特別純米酒、特別本醸造酒(60%以下)
本醸造酒、純米酒(70%以下)と基準が決まる。
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■浸漬・蒸米・麹菌 精米された米は洗米で、付着した糠
が洗い落とされ「浸漬」の業に入る。精米で乾燥した米を
水に浸け水分を与える作業だ。浸漬された原料米は蒸され
米のでんぷんを糖化されやすくする。「蒸米」である。蒸
し上がった米は大釜からコンテナで麹室に入る。麹室は30
度。むっとする暑さだ。蔵人は上半身裸の作業。運ばれた
蒸米は広い台の上に広げられ、蔵人の手でかきまぜられて
適当な温度までさまされ、種麹「麹菌」が掛けられる。
「一麹 二?三造り」。麹造りは酒造りの重要なポイント
である。種麹を掛けられた麹は、菌糸が伸びやすいように
保温のために毛布がかけられて一晩を過ごす。麹菌が活動
しやすい温度を保つために、徹夜で麹の温度が調整される。
翌朝、麹はほぐされ、「麹箱」という杉の浅い小箱に移さ
れる。麹を撹拝し丸く盛る仲仕事、そして箱に平らに伸ば
して畑のように畝をつける「仕舞い」仕事と続く。その後
麹は一晩寝かされ「出麹」を迎える。出麹は、麹室から出
して温度を下げ、乾燥させる作業である。
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■生酒 夏の風物詩は、ビアガーデンだろう。生ビールを一気
に飲みほす心地よさ…。さて日本酒にも「生」がある。種類は
三つ。「生酒」(生生)「生詰め酒」(あと生)「生貯蔵酒」
(さき生)だ。日本酒は仕込まれたあと、ビン詰め出荷される
前に2度の火入れをする。この火入れをしていないものを生酒
という。
「生酒」は、貯蔵するときもビン詰めするときも火入れを行な
わない酒。「生詰め酒」は貯蔵前の火入れだけを行ない2回目
の火入れを省いたもの。「生貯蔵酒」は火入れをしない生の状
態で低温貯蔵し、ビン詰め前に1度火入れをした酒である。生
酒のおいしさは、新鮮で若々しさ、造りたて。
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■原酒 通常、日本酒は醪を搾ったあと、水を加えてアルコール
度を調整する。搾りたての酒はアルコール度数が高いため、加水
してアルコールの濃度を下げる。これを「割り水」「加水調整」
と呼ぶ。原酒は、加水してアルコール調整をしていないものだ。
醸造方法や種類によって差があるが、原酒のアルコール度は概ね
18〜20度程度。片やアルコール度数12〜13度という原酒もある。
これは醪を搾ったあと加水せず、醪に直接水を加えて造った酒で
ある。厳密にいえば原酒とはいえない。
本来の原酒は加水されていない純米酒のことだが、今日では純
米酒以外でも加水やブレンドをしていなければ「原酒」と表示で
きる。 |